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All Arounder

第6章 Expressionless Princess




屋根裏を通り、排気口を下り、外へ出ると3人は車に乗り込んだ



「はぁ…」



後部座席に姫を座らせ、その横に大志は座った



『どこへ行くの?』



また、独り言のように姫は呟いた


すると姫の方のドアが開き、井上が顔を出した



「なぁ、姫ちゃんってマジ可愛くねーか!?
なぁ大志!!」


「っ…てめぇはさっさと運転しやがれ」



そう言う大志を無視し、井上は姫の隣に座ってきた



「おい井上…!!」



「いいからいいから」



後ろ3人は狭いんだよ!!




「姫ちゃん、年いくつなわけ?」


ワクワクしながら聞いてくる井上



特に嫌がる様子もなく…というか、相変わらず無表情のまま


『19』


と答えた



「まじかよ、大志より年上!?
見えねー!!」



「たった1歳差じゃねぇか、いちいち騒ぐな」



井上がこれだけハイテンションということは
姫がよっぽど好みだったのだろう







『あたしは…殺されるの?』








さっきから


この問い掛けばかりだった




「だから、んなことわかんねぇって」



さすがにイライラしてきたので、大志は頭をガシガシと掻いた



「姫ちゃん、俺らが怖くねーわけ?」




『別に』



そのそっけない返事は

答えているのに、答えられている気にはさせなかった






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