All Arounder
第41章 Rival Company
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「「はぁ…」」
大志と井上は、カウンターテーブルで頬杖をつきながら同時にため息をついた
「何だよ二人して…?」
マスターは、そんな二人のやる瀬ない表情をただ眺める
「だって…マスター…」
「変に寂しーんだよ…」
負のオーラが二人を取り巻いている
「まず…大志は何があったんだ?」
「…はぁ…この前の依頼の時の話だよ―――――」
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「姫、朝だ」
大志は隣でぐーすか眠る姫を起こした
『んぁ…へ?』
姫は間抜け面をかましたまま、大志の方を向いた
「扉の鍵が開いたら、さっさとずらかんぞ?」
『あ…あ、そうだった』
姫は自分の顔をパチパチと叩いて、眠気を覚ました
"メイクアップ鈴木"で薬品を盗むという依頼を済ませたものの
倉庫に閉じ込められてしまってどうしようもない状況だった
だから今はこうやって、また鍵が開くのを待っているのだ
『ん~、まだ眠いなぁ…』
そう言いながら、姫はうんと伸びをする
「…///」
姫の唇を見てしまうと、もう目が離せなかった
昨日のあの柔らかい感触を、鮮明に記憶してしまっている
「…姫///」
『何?』
「…キスしたい///」