All Arounder
第7章 Make Me Smile
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数時間後
大志と井上は、姫を連れて酒場に戻ってきた
カランカラン
扉を開けるといつも鳴る陽気な音
もう聞き慣れすぎて、鳴っても耳に入ってこない
「マスター、何か飲み物」
姫をカウンターに座らせ、大志と井上はその両側に座った
「飲み物だってただじゃないんだ。金払いな」
「マスター、オレらの仲じゃねぇか
今日くらいおごってくれよ」
「その"今日くらい"は聞き飽きたな…」
マスターは渋々飲み物を出した
「…で、この子が西浦財閥の令嬢さんか…苦いの飲める?」
姫にはコーヒーが出された
『…』
「おいマスター、ちゃんと姫ちゃんって呼べよなー」
文句を垂れる井上には、いつものカクテルを
「マスター…明日、依頼人が来る」
「明日?わかった
大志、今日は家に帰らないのか」
大志にはりんごジュースが出された
「またジュースかよ…
今日はダチん家で泊まるって言ってあるからな」
一服し終わると、大志は奥から毛布を取り出して姫に渡した
「寝とけ、お姫さん」
姫は毛布を受け取ると、後ろにあったソファーの上に横になった
よほど疲れていたのか、姫はあっという間に眠ってしまった
「姫ちゃん可愛いなー、チューしてーぇ///」
井上はカウンターから姫をうっとりと眺めた
「あの子、逃げようとは思わないのかな?」
「あ~大志が口説いてたからなー」
「口説いてねぇよ」