All Arounder
第42章 Kiss Me
「…何なんだろうな」
『…うん…』
付き合うような形を取った方がいいのか
今さら?
大志も姫も、こんなよくわからない関係を持った人間は初めてのことで
どこか困惑していた
雇い雇われでなければ
恋人でもない
友達でもないし
仲間意識もない
ただ
好き
もうそばにいて当たり前の存在になってしまった相手を
自分はどう捉えたらいいのだろうか…
「なあ、姫…」
姫はゆっくりと顔を上げた
何故か何となく照れ臭そうで、そんな表情がまた愛らしい
「ほんとに…覚えてねぇの?
その…キス…」
『だ、だから、それはしてないよっ///』
「…」
できれば
覚えていてほしかった
そうすれば、確かめることが出来ただろうから
"好き"の中身を…
てっきりあのキスの時には、"CC5"とかいうわけのわからない媚薬の効果が切れていると思っていた
もし切れていたなら、あのキスが姫の本心
として、こっちも受け止めることが出来たが
そうでないなら、これほど裏切られたような、落胆させられるような気分はないだろう