All Arounder
第42章 Kiss Me
『大志、歌上手いねー!!///』
「おう、中学ん時に鍛え上げたからな」
大志はマイクをテーブルに置き、飲み物で喉を潤した
『じゃあ次はぁ…』
そうやってゴチャゴチャと歌ったり喋ったりしているうちに
時間はどんどん過ぎていった
時計を確認してみると、残りは15分
昼間から夜中まで歌い通した昔と比べると
1時間なんて本当に少しの間だ
『ぁあぁー…喉嗄れてきた』
姫はまたジュースを口にする
それを見ていると、やはりどうしても唇に目がいってしまう
「…///」
見まい見まいと顔を背けようとするが、それもなかなか無理な話だった
『ねぇ大志』
「ん?」
姫はコップを置き、チョコンと座って大志の方を向いた
『あのさ…あたしって、今…大志の…何?』
「…」
あの倉庫でのことだろうか
キスは覚えてないにしても、好きと言い合ったのは事実
姫だって、それだけは覚えている
けれど、それだけなのだ
告白したから、何か変わったかというと
何も変わっていない