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All Arounder

第51章 Live Together




「何でよりによって…美空の恋人…なんだ?」



「何でって…相思相愛ですから」



小泉は軽く息を吐くと、後ろに手をついた


そしてボーッと空を眺めはじめる




「てめぇのことだ、何か魂胆があんだろ」



「酷いなぁ、俺ってそんなに腹黒い奴?」




「当たり前だ。
過去の話だと思ったら大間違いだ」




斉藤はイライラと、貧乏揺すりをはじめた



その様子を見て、小泉はプッと笑う




「何だよ?」




「ううん、別に…
斉藤はさぁ、今、幸せ?」




「はあ?」




斉藤は怪訝そうな顔を向けた


てっきりニコニコしているものだと思っていたが、小泉の顔は笑ってはいなかった





「大好きな家族に囲まれて、ちゃんとした仕事もあって、胸張って生きていけてさ」




「…」




「言い出したら…ただの妬みになっちゃうんだけどね」




やっと作られたほほ笑みは、どこか寂しげだった






「…幸せ…かな」




「自信ないの?」




「わかんねぇよ…」











毎日当たり前のように過ぎていく



幸せを感じられたのは、まだ憧れを持っていたときだった気がする…



この幸せに、身に染みるほど浸った今となっては


それが幸せだったのか、当たり前のものだったのか

区別がつかなくなっていった










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