All Arounder
第52章 Young Girl
「なぁなぁ、退斗ー?」
「あ?」
いつものように酒場でまったりとしている時だった
葵が突然、井上に話し掛けてきた
「これな、どっちがええ?」
「んー?」
葵がスッと出してきたのは、女性雑誌
「どっちがって…好みの女を答えりゃいーのか?」
「ちゃうわ!!」
『どっちの髪型が好きかってことだよ』
葵の後ろから姫が顔を出し、そう言った
…好みの髪型ねぇ…
一方は黒髪の緩いボブで、もう一方は明るい茶髪のショートカットだった
「俺、ねーや」
井上はズズッとコーヒーを啜った
「はあ?
そういうの無しやし」
「だって別にどーでもいいんだもんよ」
納得いかない様子の葵の肩を、姫はポンポンと叩いた
『退斗は優柔不断な男だから、決められないんだよ』
「…姫ちゃん、それはどういう意味だ?」