All Arounder
第52章 Young Girl
「それは勘弁ですよ~う」
「んじゃ、人探しも手伝えねぇな」
「え~大志さ~ん…」
有利香の必死のお願いも、大志は全く聞こうとしない
姫も、大志にそこはなんとかして欲しかったが、仕事のことは口出し出来ない
「…わかりました…」
大きな溜め息を一つついて、有利香は袋を手前まで持って来た
「見せるだけですからね」
「ああ。
しっかり人探し、受け持ってやるよ」
有利香は躊躇いながらも、袋の口を紐解いていった
そして、その袋の中身の先端部分が顔を出した
「…柄?」
井上が呟くと、有利香はさらに袋から脱がせていった
そうして現れた物は、使い古された竹刀であった
「あ~あ、見せちゃった」
「…ただの竹刀じゃねぇか」
「何ですかその言い方は~。
ちゃんと見せたんですから、依頼、お願いしますよ?」
有利香はルンルンしながら、再び竹刀を袋に仕舞った
「…いや、やっぱ金払え」
「えええ!?
ちゃんと約束どおり、袋の中身見せたじゃないですか~!?」
『そうだよ大志。
大志が言い出したんだから、しっかり約束は守らなきゃ』
姫の言うことが正しいのは百も承知だが、こっちとしては狐に騙された気分だ
「…それだけ大事そうにしてたから何かと思えば…ただの竹刀かよ。
がっかりだ」
「ひど~い!!!」