All Arounder
第52章 Young Girl
「そんなことより!!」
有利香は手を叩いて、胸元から1枚の写真を取り出した
「おーう有利香ちゃんエローい」
「退斗、喜ぶなアホ」
机の上に置かれた写真には、一本の短刀が写っていた
「なんやこれ?」
『なんか、ギザギザしてるね』
姫や葵が興味津々になっている側で、大志は呟いた
「ソードブレイカーか」
「だな。しかも作りもしっかりしてそーだ」
「わあ凄い、知ってたんですね~!!」
有利香は写真を懐に仕舞うと、机に身を乗り出した
「で、そんな大志さんたちに聞きたいんですけど、"赤井久狼(アカイクロウ)"って人、知りませんか?」
「赤井久狼?」
大志と井上は顔を見合わせる
そのような名前は、見たことも聞いたこともない
「知らねぇな」
「そうですか~…」
有利香は肩を落とした
「何だ、その刀とその人間が関係あるのか?」
「多分関係あるんですよ~。
あたしもどんな人か知らないから困ってて…」
「探してるのか?」
「はい~」
諦めかけた顔をする有利香に向かって、姫が言った
『じゃあ、人探し頼んだらいいんじゃない?』
「え?」
「この二人、何でも屋しとんねん。
手伝ってもらったらどうや?」
葵は、大志と井上を指差した
「All Arounderだ。
何回言えば覚えんだよ…?」
「何でも屋ですか~…それじゃあ、頼んじゃってもいいですかね?」
また笑顔に戻った有利香を見て、姫はホッとした
「報酬はきっちり貰うけどな」
「え…お金取るんですか~…」
「別に、金以外もありだ」
「ほんとですか!?
じゃあ体で払いましょうか!!」
「いいや」
有利香の言葉に、井上は一瞬喜んだが、大志に遮られてガックリと頭を垂れた
「あんたのその荷物、見せてくれよ」