All Arounder
第53章 Bring Back
ドンッ!!!!
「…!!??」
何かが有利香の前髪をかすめた
「おい、ブリブリギャル」
そこで銃を構えていたのは、井上だった
「それ以上何かしてみろ。
次はその刀持てねーようにしてやるぞ」
「有利香別に脅しとか効かないにょー」
「試してみるか?」
「…」
緊張した空気が張り詰める
まばたきすら忘れるほど
井上は有利香の動きに集中した
「きゃは〜
多勢に無勢ですか♪」
有利香はくるりと踵を返し、
落ちていた袋を拾った
「女の子に銃を向けちゃうなんて〜
井上さんひどーい」
「こっちだって趣味じゃねーよ」
有利香は刀を袋に仕舞い始めた
しかしその間も、井上は銃を下ろさない
「ほいじゃ、今日はおいとましますか♪」
軽く敬礼すると、有利香は出口まで歩いていった
「あ、そうそう…」
しかし直前で振り返り、その視線はマスターに向けられる
「赤井久狼は、殺すから。」
「だろうな」
マスターは微笑をもらした
「仕事中も、寝てる時も、ご飯食べてるときもお風呂入ってるときも、いつでも殺せるようにしとくから。
せいぜい背後に気をつけることだね」
「ご忠告、ありがとう。それと…」
マスターはソードブレイカーを持ち上げた
「これも…届けてくれてありがとう」
「…その刀を返したのは、間違いだったよぅ」
有利香はそのまま、酒場をあとにした