All Arounder
第56章 Strong Women
「さて、それじゃそろそろ、今日のところは帰るとするか」
井上は残りの酒を飲み干すと、グラスをマスターに返した
「マスターにとったら散々な1日だったな」
大志も続けて、ストロー付きのグラスを返す
「ははは、まぁこうやって生きてるし、有難い話だよ。
退斗は…」
「いやいやショックとか別に受けてねーし」
「そうか…」
「もう、責める相手もいないんだ。
七香のことに関しては、
マスターも、その淳司ってやつも、悪くねーよ」
井上は、開かれたままの本を閉じた
「マスターの、親友の、生涯だ。
あんまり他人に晒してやるなって」
「…ああ、そうだな」
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「それにしても、いろんな話に驚きっぱなしだったなぁ」
大志たちは、井上の家への帰り道だった
「ああ、何よりマスターがあんな強かったとは…驚きだ」
「強いっていやぁ、あの有利香ってやつもでたらめだったな」
「俺なんていきなりぶっ飛ばされたし…」
大志と井上はずんずんと道を進んでいく
その後ろを追いかけるように、姫と葵も並んで歩いていた
『葵ちゃん』
「ん?どしたんや?」
姫はコソコソと葵に耳打ちする
『あたし思うんだけどね…』
「うん」
『もっと、咄嗟の時に大志たちを守れるように、強くならなきゃいけないと思うの』
「それうちも思っとった!!!」
葵が目を大きく開いて姫の方を向いた
予想以上の大賛成に、姫も思わず笑顔になる