All Arounder
第10章 Parent And Child
「…何かついてっか?」
姫があまりにも見てくるので、斉藤は自分の顔をペシペシ叩いた
『え、いえ…』
とっさに視線をそらし、蛇口をひねって顔を洗った
「ちょいと上わりぃな」
すると斉藤は、姫の後ろから髭剃りを取ろうとした
しかし、少し姫に体が当たり、姫は驚いて振り向いた
『えっ///
あ痛!!』
振り向いたと同時に、斉藤の肘が額にぶつかった
「あ、わりぃ!!」
斉藤は水を止め、下でうずくまる姫の顔にタオルを持っていった
「痛かったな…大丈夫か?」
びしょびしょだった姫の顔を、優しく拭いていった
『だ…大丈夫です…///』
…結構、痛かった…
「デコ赤くなってら…しゃあねぇな…」
斉藤は姫の額をクルクルと撫でた
「痛いの痛いの飛んでいけ~…はい」
『…』
「飛んでったか?」
『…まあまあ』
「まあまあか…大志には効果的なんだけどなぁ」
斉藤は立ち上がると、姫の手を取って一緒に立たせてやった
『…///』
「頬まで赤くなってんじゃねぇか!!
マジで大丈夫か!?」
驚き慌てる斉藤に、姫は必死になって言った
『ち、違います、大丈夫です…!!』
出来るだけ、顔を見せないようにして
「…そうか?
なら、いいんだけどよ。
…にしても…」
斉藤は姫の顔を覗き込んだ
「姫ちゃんって、マジで可愛い顔してんだな」
斉藤はニカッと笑った
『そ…んなことなぃです…から…///』
顔のほてりが、頭まで回った気がした…