All Arounder
第10章 Parent And Child
その時
「あ、髭剃んの忘れった」
と、斉藤が顔を出した
「また来やがった…」
「ああ~朝からラブラブしてんじゃねぇよ~(笑)」
『え、あ…///』
姫はとっさに大志の頭から手を離した
姫の慌てようと照れた顔を見て、大志は眉間にシワを寄せる
「オレも撫でてもらおっかな」
「てめぇは引っ込んでろ!!」
ドンッと大志は斉藤を突き飛ばした
「っ…何ムキになってんだよ?冗談に決まってんだろうが」
と言う斉藤を無視して、大志は顔を洗い始めた
「ほーぉ」
斉藤のこめかみに、一瞬血管が浮き出た気がする…
「シカトたぁいい度胸してんじゃねぇか!!」
容赦ない蹴りが大志の脇腹にヒットし、大志は倒された
「ジジイてめぇふざけんじゃねぇよ!!」
「おめぇはふざけなさすぎだ」
今日は、特に…
いつもは通じる冗談も、今日の大志には通じねぇ
マジギレじゃねぇかよ
「…姫ちゃんがいるからか?」
「は…?///」
…図星か
「わかりやすい奴だなぁ」
「ちっ…違ぇよ!!///」
反撃に掛かろうとしたが、斉藤は大志を睨みつけた
「…っ」
思わず怯む
そんな必要ないのに、なぜか腰が引けてしまうのだ
『…』
姫も、その目に恐怖を覚えた
大志にしても、父親にしても…
この親子は、どちらもあたしに恐怖を植え付ける…