一万回目のプロポーズ
第2章 8年の溝
「明奈…それ正気で言ってんの…?」
「嘘だよね…?」
友達はあたしの耳元でコソコソと話した
『さぁねー…』
もちろん、嘘だ
「明奈、趣味悪っ!!
皆に言い触らしてやろっと♪」
『勝手にどうぞー』
あたしは眠いんだ、ホントに勝手にしてちょうだい
もう一度昼寝をしようとすると、友達はあたしの体を揺すってきた
「明奈つまんないー!!
そこはもっと
"えっ、ちょっとやめてよもぉお!!"
みたいなリアクション欲しかったなぁ」
『ごめんなさいね、眠いからね』
「じゃあ明奈は、竹村君のことどう思う?」
その瞬間、自分が動揺したのがわかった
心臓が握り潰されるような思いに、つい苦しそうな顔を作ってしまう
『竹村君…とか、眼中にないし』
嘘だ