一万回目のプロポーズ
第2章 8年の溝
俊司と千尋が、二人並んで廊下を歩いていく
そう
あの二人は、最近付き合い出したばっかりなんだ
聞くところによれば、千尋が俊司に告白したとか…
別に、あたしには関係ないよ
あの二人が好き合っていようがいまいが…
関係ないもん
『…』
ふいに目を閉じた
確かにあたしには関係ないけど
あの頃、俊司と一緒にいたのは…
千尋じゃなくて
あたしだもん…
『やだ』
独り言が飛び出た
でもそんなことは気にしない
"やだ"っていうのは、いつまでもくだらない過去を引きずってるあたし自身に対してだ
あたしは鞄を肩に掛け、急ぎ足で教室を飛び出した