一万回目のプロポーズ
第2章 8年の溝
靴のかかとを踏ん付けながら、外へ飛び出した
新鮮な空気を吸い、ゆっくりと吐くと
心なしか慰められた気がした
『…』
保育園の時は、毎日楽しかった
俊司からの"結婚して"の言葉や、俊司自身の存在が
好きで好きで仕方なかった
けれど、神様ってあたしを見放してるのかもしれない
小学校も中学1、2年も、一度として俊司とは同じクラスになれなかった
そのおかげで、俊司との昔のような関係はめっきりなくなり
知らないうちに
"あきちゃん"から
"笹川さん"に降格していた
幸か不幸か、3年になって初めて俊司とは同じクラスに
しかも今の席は隣だというのに
あたしは全然、嬉しくない
気がつけば、俊司には彼女が出来ていたんだから…
そりゃそうか…
あんな幼い頃の約束なんて…普通忘れちゃうよね
覚えてるあたしが
馬鹿みたい