一万回目のプロポーズ
第3章 優しくすんな
「ほら立って」
大きな手に引かれ、あたしは立ち上がった
『…///』
そこからは、俊司のさしてくれる傘に入って歩いた
そうやって隣を歩いていると、改めて思う
俊司、身長が伸びたんだな…って
『昔は…あたしと同じくらいだったのに…』
「何が?」
『身長…』
「だって伸び盛りっすよ、明奈さん」
ケタケタと笑った顔は、あの頃のままだ
『…"笹川さん"じゃないの?』
「"明奈"の方が呼びやすいだろ?」
『じゃあ…最初っから名字で呼ばないでよ』
「いや、だって…///」
俊司はプイッと顔を背けた
照れているんだろうか
そんな必要、何もないのに…