一万回目のプロポーズ
第4章 あの時みたいに…
やっと俊司の家に着いた
昔何度か来たことがあるが、あの頃と比べると
少し家が小さくなったように思えた
「親、仕事でいないから適当に上がって」
『お邪魔しまーす…』
外で服を絞り、靴下を脱いで、家に上がった
「タオル取ってくるし、ちょっと待っててな」
『うん、ありがと』
俊司はドタドタと二階へ上がっていった
『…』
フッと口元が緩んだことに気づき、自分で頬をパチンと打った
何が嬉しかったって
また、"明奈"と名前で呼んでもらえたことだった
『///』
別に俊司の彼女じゃなくても…あたしには充分だ
あたしは千尋ほど可愛くも、女の子らしくもないけど
それなら
あたしはあたしの接し方で、俊司と一緒にいたい
「お待たせ、はい」
俊司は階段を下りて来ると、あたしに数枚タオルを渡した
『ごめんね』
「別にー、あ、そんで母さんの服」
タオルの次に、俊司は母親の服を渡した
『え…悪いよ』
「いいからいいから、風邪引くだろ?」
『…ありがと』