一万回目のプロポーズ
第1章 幼い脅迫
「はやく」
え?
そう言われましても、無理っしょ
だいたいあんた誰だよ
…いや、知ってる
この男の子とは同じ保育園に通う間柄だ
『…なんでチューしなきゃだめなの?』
でも、本当にそれだけだ
まぁ普通に友達だと、ずっとそう思ってた
「殴んぞ?」
思いっきり睨みを利かし、こっちを見てくる
これは…ガチで殴られる…
保育園児みたいなフニャフニャしたおつむでは、殴られる方が嫌だ
と解釈してしまう
実際大人でもそうだろう
『わっ、わかったから…なぐらないで…』
この時のあたしは、半泣きだったに違いない