一万回目のプロポーズ
第1章 幼い脅迫
ズルズルと体を移動させた
一言添えておくなら、この頃のあたしには好きな男の子がいた…
けれど
ここで呆気なく、あたしのファーストキスは奪われるのだった
…まあ自分からキスしに行ったんですけどね
むちゅ
ギュッと目を閉じ、男の子の唇目掛けてキスをした
『おわりっ』
あたしは急いでタオルケットを頭まで被った
恥ずかしさで死んでしまいそうだ
誰かに見られてたんじゃないか?
先生にバレたんじゃないか?
胸の辺りが、ぐにゃぐにゃと歪むようだった
「あきちゃん」
あだ名で呼ばれたかと思うと、そっとタオルケットをめくり上げられた
そこに見えたのは、さっきの鬼のような顔ではなく
優しく可愛らしい笑顔だった