一万回目のプロポーズ
第5章 ちょっとは近づけた
教室の中は、まだ人が少なかった
あたしの席の周りなんて誰もいない…
ちょっと寂しいけど
あと15分もしたら、人なんてすぐに埋まる
鞄を置き、勉強することにした
何てったって受験生ですから
とりあえず宿題の見直しでもしようか…
とノートを開けたところで、出会った
俊司だ
「おはよー」
『おはよ』
昨日のことなど忘れてしまったのか
俊司はいつもと変わらない様子だ
「あー、明奈宿題やってんじゃん!!」
いや、ちゃんと"明奈"になってる
ふっふっふ、…自己満足ですな
『俊司は宿題…』
「やってねー」
そう言いながら差し出す手の平に、あたしは宿題をポンッと置いた
「サンキュー!!」
『5000円』
「詐欺りすぎだ」