一万回目のプロポーズ
第6章 もうやめて
「なっ、何で泣くんだよ…!?」
俊司はあたしに触れるわけでもなく、ただ目の前で、手をワタワタと動かした
『らって…あた…し…』
「た、頼むから、泣くなっ、な!?」
…そうだ
昔っから俊司は
涙に弱いんだった
「なぁ、おい、ちょっと…」
今みたいに
あたしが泣いたときはオロオロオロオロ
全然…変わってない…
『くすっ』
「へ?」
『俊司…おもろ』
「は?」
あたしは
笑わずにはいられなかった
「嘘泣きかい!!」
『嘘じゃないし、マジだし』
俊司…
やっぱりあたし、あんたが…
「何してるの?」