2人乗り
第4章 ふれることから
バイトが忙しくて
アキラとは
しばらく会えなかったけど
メールや電話を毎日した。
バイトが終われば、
俺からアキラにメールをしたし
朝はアキラからメールが届いた。
夜は、電話で声を聞いた
3日会えないだけで、
会いたくて会いたくて…
俺はたまらなかった。
今日はやっと
アキラに会える。
午後からデートなんだ。
アキラが
前から観たいと言っていた
映画を見て
ごはんを食べる予定。
俺はアキラを迎えに出掛けた。
アキラの家の前で
「着いたよ」
と電話をしたら、
すぐにアキラは
玄関から出てきた。
そしてアキラは
自分の自転車の方へ
足を向けた。
「アキラ!」
「?なに?」
「俺の・・・
俺の自転車で行かないか?
乗せてやるから。
どうせ・・・・
帰りも送って来るんだし」
「そうだね
私、楽チンじゃん!
ラッキ~」
そう言って
アキラが走り寄ってきた。
迷いなく
そうアキラが返事してくれて、
正直俺はホッとしていた
二人乗りなんて、
小さい頃から
何度もやってるんだ。
自然にしてれば・・・
いいんだよな?
アキラは
俺の肩に手をおいてから、
ストンっと荷台に腰を下ろし
いつものように
俺のシャツを握って
「いいよ~!」
と、声をかけた。
俺は
「ちゃんと、つかまってろよ~」
といって
自転車を勢いよくこいだ。
ちょっと
緊張しながら。