性教育学校
第33章 すれ違い
まず、渓人が帰ってきたら
おかえり~って言って…
それからどうしよう…
すぐクッキー食べてって言うと
そのために待ってたって
思われちゃうよね…
未練がましいって思われる…
自分なりに
シナリオを考えていた
ガチャ
「か、帰ってきちゃった…っ」
無駄に緊張した
心臓がうるさかった
「…あ、おかえり♪」
普通に振る舞った
「…ただいま」
渓人…なんか驚いてる…みたい
あたしが起きてるからだよね…
「なにしてんの?」
う…なんて言おう…っ
言わないと逆に怪しいよね
「え、えっと…寝れなくって!」
本当はとても眠いけどね
「…そっか」
なんか、渓人冷たい…
あたしの勘違いかなぁ
「あのね…」
渓人に喜んでほしい…
もうどう思われてもいいや
「…クッキー…作ったの」
やばい…言うの緊張する
あたしどんな顔してるんだろ…
「渓人にも食べてほしいなーって…」
返事を聞くの
少し怖いなって思った…けど
「食う」
すぐに返事くれた
一気に嬉しくなった
だって
声だけだけど…
少しトーン高かったから…
嬉しいのかなって期待していいのかなぁ
「はい♪」
渓人のぶんも
ちゃんと残して飾っといた
笑ってくれるかな…っ
「…どう?」
少しうつむいてる渓人の顔を
ちょっと覗いてみた
そしたら
思いっきりそらされて
目も合わせてくれない
「…うまいよ」
「そ、そっか」
期待しすぎてた
あたしがばかだったのかな…
いつまであたしは
渓人を想ってるんだろ