性教育学校
第43章 夏休み
「…行ってくるわ」
渓人はあたしから離れた
泣き顔を見せたくなくて
顔をあげられなかった
「渓人頑張ってね!」
「途中挫折すんなよな」
莉乃と裕希くんは
最後まで渓人に声をかけていた
渓人がどんどん行ってしまう
足音が遠ざかる
「渓人…っ渓人……」
あたしの小さい声は
渓人に届いてない
「……け、渓人っ!」
周りの人が
あたしに注目するほど
大きな声で呼び止めた
「頑張ってね!
あたしと莉乃と裕希くんで
ずっとずっと待ってるからね!」
渓人は笑顔を
あたしたちに向けてくれた
そしてまた歩き出した
渓人の後ろ姿
迷いがなくてすごく立派だった