
人は
嵐の前になすすべもなく立ちすくむ
由奈もまた…
夢が、今までの努力が、一瞬にしてついえた時、由奈は何を思ったでしょう。
ただ柊の名前を胸の中で繰り返すばかりだったでしょうか。
彼女はこの恋を悔いてはいないはずだから…
けれど彼は、柊さえいなければその出自がこうまで早く露見することはなかった、と思っているでしょう。冷たい眼差しの中激情と怒りを持って…。
行き違うふたりの想いに柊が向き合う時、何が起こるのか…
嵐はまだほんの序章、と思ってしまうのは悲観的に過ぎるでしょうか。
由奈の細かな感情描写が、静謐な表現の中胸に迫ります!
まるですぐそこで嗚咽を洩らしているように…