掲示板

みんなで掌編小説を投稿しよう!

誰でも参加自由。小説ジャンルも自由。

1レス(500文字以内)で完結する掌編小説を投稿してください。掲示板ジャンルを【宣伝】にしたのは、レスに短い小説を投稿することで、

「この人、こんな感じの小説書くんだな。もっと他の作品も見てみたいな」

という感じで、ここに小説を載せることが間接的にその人にとっての宣伝になってくれればいいな、という思いで選びました(なので、宣伝だけ書くというのはご遠慮ください。あくまでも小説を投稿してください)

掌編小説というのは、200文字~800文字で完結する超短い小説をさします。掌編小説の文字数規定でいえば800文字までなのですが、ここの掲示板のコメント文字数制限が500文字までなので、かなり短くなりますが、500文字以内の小説を書いてください。

楽しい作品がたくさん投稿されることを願って…

スタート!!


1  あの子は私に懐かない…。

 3年前、私は子持ちの男性と結婚をした。当時3歳。母親は、男をつくって出て行った。子どもには、私なりに一生懸命愛情を注いだつもりだったけど、あの子は私に懐かない…。

 ある日、部屋を整理していると、紙巻きオルゴールが見つかった。懐かしい。そう思って回していると、興味を持ったらしく、子どもが寄ってきた。紙巻きオルゴールの説明をしてやる。紙にパンチで穴を開け、それを通すと音楽が鳴るのだ、と。

「どんな曲でも作れるの?」
「穴をあけた位置で音が変わるからね」

何枚か、まだ穴の空いてない専用の紙をわたしてやる。紙とパンチを持って自分の部屋へ戻っていく子ども。ここで作らないんだ。ま、いいけど。

次の日、掃除の為に子どもの部屋へ入ると、机の上に昨日の紙があった。その紙には、穴をつなげて文字が書いてあった。

「おかあさん、いつもありがとう。だいすき」

紙の端には、鉛筆で女性の似顔絵が描いてあった。髪型とメガネから、産みの母ではなく、私を描いたものだと気づいた。紙をオルゴールにいれて回す。決して綺麗な曲ではないのに、聴いていると、涙があふれてきた。


2 【無自覚】

よくさ、気づいたら○○してたってことあるじゃん?

気づいたら、目で追っていた。
気づいたら、恋してた。
気づいたら、追いかけていた──とかさ。

無意識に行動してたってやつ。

俺まさに今そんな感じなんだよね。
気づいたら知らない部屋にいてさ、なぜか俺のそばで女が倒れてるんだ。

この女──最近同じ電車に乗っててよく見かけてたんだよな。

なんで俺ここにいるんだろう。
なんかすごい鉄の臭いがするけど、俺はなにもしてないよ?

ただ急に傘で刺されそうになったから、正当防衛しただけ。


3 【願い事】

大学受験を控えたある日のこと。

僕は神社へ行った。おみくじを引いてみようと思ったのだ。

そこは無人の神社で、拝殿の脇に八角柱の形をした入れ物がかけられている。それがおみくじの箱だ。中には大吉とか中吉とか、あるいは大凶などと書かれた、アイスの棒みたいなのがいっぱい入っている。管理している人がいないから、このおみくじは引きたい放題だ。

僕は拝殿にお祈りをしてから、いよいよおみくじの箱を手で握った。そして、ガシャガシャと振る。

――大吉大吉大吉! 大吉よ出ろ!

そう念じつつ、箱をひっくり返した。

アイスの棒みたいなものが出る。その先端に書かれていたのは、「大吉」の2文字だった。

――やった!

嬉しかったのだけど、ふと考えた。

――本当に願いが叶うのだとすれば。

僕はもう一度おみくじを引いてみた。大吉が出ることを祈りながら。

でも、もう2度と大吉が出ることはなかった。

僕は後悔した。
4 【君のいない夏】

昭和20年6月某日、僕のところに赤紙がきた。僕は、涙をためて辛そうな顔をする君の頬を撫で、

「必ず、生きて帰ってくるから」

と耳元で囁いた。君は僕の目を見つめ、

「待ってる」

そう答えた。なのにーーー

8月6日の朝、君は、消えた。広島の街と一緒に消えた。帰ってきた僕の目に写ったのは、廃墟と化したヒロシマだった。

僕は生きて帰ってきたけど、そこにもう、君は待っていなかった。

今年も、君のいない夏がまたやってくる。
僕は慰霊碑に花をたむけ、祈る。

戦地に行った僕が生き残り、広島に残った君が死んだ意味が、僕には未だにわからない。
5 【ニュース】

「よぅ、マイク!いいニュースと悪いニュースがあるぜ」
「あのなぁ……。なんだよいきなり。今度は何を観たんだ?」
「え?何って、何が?」
「とぼけるな。どうせまた海外ドラマか何かのセリフのパクリだろう。だいたい、誰だよ、マイクって」
「いや、あの……」

指摘が図星過ぎて何も言い返せないのだろう、黙り込んでしまった。

「……でも、いいニュースと悪いニュースがあるのは、本当に本当なんだ」

ようやく絞り出すようにそれだけを言ったアイツ。

「わかった、聞くよ。好きなほうから話せ」
「懸賞で車が当たった」
「そうか、そりゃすごいな。おめでとう」
「オヤジが事故って廃車になった」
「それは、当たった車が、か?それとも、別の車か?」
「当たった車はまだ届いてないよ。事故ったのはオヤジがもともと乗ってた車だ」
「で、その話を俺にしてどうすんだ?」
「いやあの、誰かに話を聞いてもらいたかっただけだよ。というかせっかく俺が車を当てたのに、親父の車が廃車になったせいで取られそうなんだ。なんかいい案ないかな?」
「俺じゃなくて、オヤジと話し合え」
「そうだな……」

6 【エンドレス】

 買い物に出る準備をしていたら、おじいちゃんがリビングに入ってきた。
「優香さんや」
「何ですか、おじいちゃん」
「わしの貯金通帳知らんかね?」
「あら。おじいちゃん、自分で持ってらっしゃるんじゃないですか?」
「そうだったかね?」
「そうですよ」
「そうか。そりゃすまなかったな。もうちょっと探してみるとしよう」
 おじいちゃんはおぼつかない足取りで、のそのそと出ていった。
 おじいちゃんったら、数分前も同じことを訊いてきたのよね。最近では、今の会話しかしていないような気がする。このままだと私までボケちゃいそうよ……
 と考えてたら、「あっ」と思い出した。
 そうだった。私……おじいちゃんの通帳を預かってたんだった。
 おじいちゃん一人で管理してたら、通帳をどこにやったかわかんなくなるからって言って……。あらやだ、私も年ねー。おじいちゃんに悪いことしちゃったわ。すぐに通帳を渡して謝らないと……
 でも、いいか。
 どうせまた数分したら訊いてくるだろうし。その時に普通に渡せばそれでいいわよね。
 とりあえず、買い物へ行く準備だけでもしておきましょ。
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7 【ちくわ明太子】

その日、男吉永(おとこよしながではない。だんきちえいと読む)は、会社の先輩である、屋良瀬満子(やらせみつこ)のアパートに、会社帰りに立ち寄っていた。

普段、料理をしない満子が、初の料理を振る舞ってくれると言うので、吉永はトイレにこもる覚悟で、本を五冊持参でやってきた。 そして、満子が出してきたのは……、

「はい、明太子ちくわ。召し上がって」

「は?」

吉永は、唖然とした。初の料理……ただちくわに明太子を詰めただけ? 吉永が問いかけると……、

「鱈のすり身を竹の棒に巻いて……」

まさかの、ちくわもお手製。食べてみると、驚くほどうまい。あっという間に、一本、また一本と口に入る。

これは、酒に合うぞと、満子に二本ほど袋に入れてもらい、持ち帰ることにした。

デニム生地のウエストバックに明太子ちくわを入れ、家での酒を楽しみにしていた。

帰りの電車は、超満員。ウエストバックのちくわを潰すまいと、背中に回し手でおさえる。

そして、駅につくと、後ろの男がら声をかけられた。

「兄ちゃん、ええ加減に離しなはれ」
8 【部屋の主】

僕は、この部屋の主!今いる仲間達の中で、いちばん長くここにいる。今日も、新入りがはいって来たと思ったら、あっという間に出ていく。扉があき、明かりが差し込む。

まぁ、そろそろ僕の出番かな…。ちょっとドキドキしながら時を待つ。しかし…

赤く美味しそうに熟れた隣のトマトが先に出て行った。また、ダメだった。

わかってた。僕はあまり人気が無い。とくに子どもたちからの支持は得られにくい。僕のことが苦手と言う子どもも多い。

ここに初めて来た日のことが忘れられない。僕よりももっと苦手な人が多いと言われるゴーヤ先輩が腐りかけていた。僕と入れ替わりにゴーヤ先輩は出て行った。最後に悲しそうに「サヨナラ」と言ったのが耳に残っている。きっと先輩は食べてもらえないまま生ごみとして捨てられた。食べないなら、なぜ買うのか…。しかしそういう僕も、そろそろ…危ない。

そんな時、救世主があらわれた。筍水煮くんだ。チンジャオロースになりたいという僕の夢が叶うかもしれない。

筍くんと一緒にこの部屋を出る時、僕は豚さんと出会い、チンジャオロースになる。

一言解説※部屋→冷蔵庫の野菜室/僕→ピーマン
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