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ひねくれショタと変態大学生の平和的日常

第6章 それぞれの過去 一

なんなんだし。あいつ。

「もうやだ」

「じゃあ、返事を教えてくれ。そしたら追わない。…けど、本当の返事を教えてくれ。この返事が本当の返事だと思ってどんな返事でも受け入れる気でいるから!」

俺はとあえず止まる。そうしないとここまで言ってくる奴から逃げてるようで嫌だったからだ。

「俺は……おまえのことは嫌いじゃない。好きか嫌いかって言われたら多分……好きだ…」

「それって……。おまえ、恋愛対象としてか?」

そんな直球でいうなよ…。

「……それは…多分。そうだ…と思う……」

「それはつまり、草風は俺のことが好きってことでいいのか?」

「う、疑り深い奴だな! そうだよ。俺はお前にあろうことか恋愛感情を抱いちゃったんだよ!!」

う、うっわぁ。なにいってんだよ。俺は。

「って、なに言わせてんだよ。くそ」

「慎……」

な、なんだし。そのすっげぇ嬉しそうな顔は……。

「じゃ、じゃあ俺、教室に戻るから」

「あ、嗚呼。慎!」

てか、急に名前呼び? まあいいけど。

「なんだよ?」

「俺今、すっごく嬉しいよ!」

そういってなにかを渡してくる本田。

「そ、そうかよ。よ、よかったな」

「嗚呼。ありがとう」

……。なんだよその笑顔。反則だろ。

「俺はもう行くからな!」

―俺はそのあと、本田にはああいったが、教室には行かずに屋上を目指した。理由は…俺達の会話の途中、一人の視線と気配があったからだった。

そいつは気配をうまく消していた。俺や特殊な奴じゃなきゃ気付かないだろう。

つまり、気配を消せるほどの手練れがこの学園にいるということになる。

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