テキストサイズ

ひねくれショタと変態大学生の平和的日常

第7章 それぞれの過去 二

~次の日、放課後の学校前~


「よっ。元気だったか?」

その人はちゃんと約束通りに来てくれた。

「元気でしたよ。あなたこそちゃんと約束守ったんですね。意外です。来ないと思ってました」

「ははっ。君は小学生とは思えないぐらい冷静だね」

それは……。

「…まあ、小学生らしくないと言う自覚はあります」

「自覚はあるのか。でも、もうちょっと子どもっぽくなってもいいと思うぞ? 大人っぽく冷静に対処出来るのはすごくいいことだが、子どもの時しかできないことってのはたくさんあるからな。例えば子どもらしく親にあまえてみるとか」

……。俺には、あまえる親なんていない。

「興味ないです。結局の所自分が人間らしく生きられれば大人でも子どもでも……。はっきりいってどうでもいいです」

そうか? ほんとにおまえはそう思ってるか? ほんとにおまえは、俺は、どうでもいいって思ってるか?

「ははっ。やっぱりきついねぇ」

その人は、しばらく間をおいてから、でも、と続けた。

「そんなの悲しいじゃん? それに隼人君。君は本当にそれで納得してるのかい? 本当に、君はそれでいいと本気で思っているのかい? 俺には、そうには見えないな。頑張って大人ぶってるように見えるってわけじゃないけど、甘えることに対してなにも思ってないようにも見えない。君はまだ子どもだ。そして君はまだ、不安定だ。だから君はもっとまわりをたよったほうがいいよ。必ずしも親じゃなくちゃいけないってことじゃないし、ね。例えば俺とかさ。あ、でも、赤の他人には頼んないタイプか。君は。まあ、とにかく君はもっとまわりをたよりな!」

……。こんなこと、いってくれたのはこの人が初めてだった…。

そして、俺がなにより嬉しかったのはこの人に『俺を頼ってくれてもいいし、あまえてもいいんだよ』って言われたような気がしたからだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ