遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第1章 燐火~宿命の夜~
スンチョンはなおも梨花の口を手のひらで押さえたまま、小声で続けた。
「私が家僕の周(ジユ)星(ソン)から聞いたところでは、大(テー)監(ガン)さま(ナーリ)と奥さま(マーニム)は既に―」
涙声になったスンチョンの言葉を最後まで聞き取るのは難しかった。
その時、更に先ほどの男たちの声が響き渡った。
「いや、確かに、あれは人の声だった」
一人が言うのに、相棒が応えている。
「それにしても、皆殺しかよ。幾ら何でも六つの娘っ子まで殺せっていうのはやり過ぎじゃねえのか。六つのガキを生かしておいたからって、何もできやしねえのによ」
「いや、右相(ウサン)大(テー)監(ガン)の仰せでは、確かに全員殺(や )れとのことだ。殊に兵(ピヨン)判(パン)大(テー)監(ガン)の嫡男と娘二人は必ず始末しろとのご命令だぞ。たとえガキといえども、遺児を生かしておけば、後々の禍根を残すことになるからな」
「チッ、年端のゆかねえガキを殺るなんざ、幾ら悪党でも寝覚めの悪い話だぜ」
「私が家僕の周(ジユ)星(ソン)から聞いたところでは、大(テー)監(ガン)さま(ナーリ)と奥さま(マーニム)は既に―」
涙声になったスンチョンの言葉を最後まで聞き取るのは難しかった。
その時、更に先ほどの男たちの声が響き渡った。
「いや、確かに、あれは人の声だった」
一人が言うのに、相棒が応えている。
「それにしても、皆殺しかよ。幾ら何でも六つの娘っ子まで殺せっていうのはやり過ぎじゃねえのか。六つのガキを生かしておいたからって、何もできやしねえのによ」
「いや、右相(ウサン)大(テー)監(ガン)の仰せでは、確かに全員殺(や )れとのことだ。殊に兵(ピヨン)判(パン)大(テー)監(ガン)の嫡男と娘二人は必ず始末しろとのご命令だぞ。たとえガキといえども、遺児を生かしておけば、後々の禍根を残すことになるからな」
「チッ、年端のゆかねえガキを殺るなんざ、幾ら悪党でも寝覚めの悪い話だぜ」