遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第3章 運命の邂逅
―海棠よ、父ちゃんは何も病人の世話をさせるつもりで、お前を育てたわけじゃねえ。お前はうんと小さい頃、辛い想いをした分、幸せになって貰いたいと思ってきたんだ。父ちゃんも母ちゃんも、お前の朝鮮一、綺麗な花嫁姿を見るのを愉しみにしてたんだぜ。だが、俺はこんな無様な有り様になっちまった。このままおめおめと生き存えていたって、お前やソルグクに面倒をかけるばかりだ。お前らの厄介者になるだけの存在なら、いっそのこと、父ちゃんは母ちゃんの待つあの世とやらに行きてえ。判ってくれよ、海棠。
梨花には父の心の声がはっきりと届いた。
「アー、ウウ」
父は言葉にならない言葉をそれでも懸命に発そうとしている。ソギョンの双眸に光るものがあった。
赤銅色に陽灼けしていた精悍な貌は今や、頬がこけ、眼ばかりが異様に大きく見え、すっかり様変わりしている。こけた頬を涙がひとすじ流れ落ちていった。
梨花には父の心の声がはっきりと届いた。
「アー、ウウ」
父は言葉にならない言葉をそれでも懸命に発そうとしている。ソギョンの双眸に光るものがあった。
赤銅色に陽灼けしていた精悍な貌は今や、頬がこけ、眼ばかりが異様に大きく見え、すっかり様変わりしている。こけた頬を涙がひとすじ流れ落ちていった。