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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第4章 求め合う心

 梨花の愕きに、南斗は曖昧に笑う。
「まあ、そういうわけだ」
 南斗の人柄を思えば、その人を育てたというグミョンがあながち悪い人ではない―という説も何とはなしに納得できるような気がしないでもない。
「グミョンは厳しいが、その分、情にも厚い。ちゃんと真面目にやっていれば、いつか必ず認めてくれる。叱るだけでなく、褒めることもできる―、そういう人間だ」
「判りました。これからは、できるだけ叱られないように頑張ります」
 笑って、少しおどけて誓いの仕種のように片手を胸に当てると、南斗も笑いながら頷く。
「そう、そなたは、それでなくてはいけない。いつも明るく笑っている顔がそなたには似合うぞ。ところで、そなたの名をまだ訊いていなかったな」

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