遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
梨花は恐怖と絶望に呑み込まれそうになりながらも、意思の力を奮い立たせた。
今、ここで混乱状態に陥ってしまっては、相手の思う壺だ。冷静にならなくては。
梨花はもがきながら、素早く周囲を見回した。
小屋の中は見かけ以上に荒れていて、あちこちに蜘蛛の巣が張り巡らされ、錆び付いた鋤や鍬、壊れた籠や石臼が乱雑に放置されている。
一カ所、大きく木の壁が破れた箇所があり、そこから月光が差し込んでいた。小さな明かり取りの窓が上方に一つだけある。
今、ここで混乱状態に陥ってしまっては、相手の思う壺だ。冷静にならなくては。
梨花はもがきながら、素早く周囲を見回した。
小屋の中は見かけ以上に荒れていて、あちこちに蜘蛛の巣が張り巡らされ、錆び付いた鋤や鍬、壊れた籠や石臼が乱雑に放置されている。
一カ所、大きく木の壁が破れた箇所があり、そこから月光が差し込んでいた。小さな明かり取りの窓が上方に一つだけある。