テキストサイズ

遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第5章 凍れる月~生涯の想い人~

「お願いだから、止めて」
 毅然として言ったつもりなのに、哀願するような口調になってしまう。
 ソヌは本当にこのまま自分を犯すつもりなのだろうか。梨花は恐怖のあまり、気が遠くなりそうだった。
 両手をひと纏めにされ、持ち上げた格好で縫い止められる。若い下男たちの中でもとりわけ逞しい体軀を持つソヌはまた、力自慢でも知られている。梨花が力一杯暴れたとしても、難なく封じ込められるのだ。
 最早、絶望的だった。チョゴリも引き裂かれてしまった。ソヌは脱がせる手間ももどかしいらしく、手負いの獣のように梨花の身につけた衣服を剥ぎ取ってゆく。
 チョゴリの下は胸に布を幾重にも巻いただけの姿である。布が豊かな胸を押し上げていて、谷間がくっきりとかいま見えていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ