遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
「―行け。今宵は海棠に免じて許してやる。だが、二度目はない。今度、海棠に手を出してみよ、貴様を八つ裂きにして川に放り込んでやる」
南斗が顎をしゃくると、ソヌが何やら喚きながら走って逃げていった。
「口ほどにもない奴めが」
吐き捨てるように言い、南斗はその場に力尽きたように座り込んだ。
永遠に続くかと思われる沈黙が突如として終わった。
「何故だ?」
南斗が梨花を無表情に見つめる。
「何故、ソヌの生命乞いをした?」
南斗が脚許に転がった剣をおもむろに拾った。その切っ先がスと梨花に突きつけられる。
「奴に惚れているのか?」
梨花は喉許に突きつけられた剣先に怖じ気づく風もなく、真っすぐに南斗を見返す。
南斗が顎をしゃくると、ソヌが何やら喚きながら走って逃げていった。
「口ほどにもない奴めが」
吐き捨てるように言い、南斗はその場に力尽きたように座り込んだ。
永遠に続くかと思われる沈黙が突如として終わった。
「何故だ?」
南斗が梨花を無表情に見つめる。
「何故、ソヌの生命乞いをした?」
南斗が脚許に転がった剣をおもむろに拾った。その切っ先がスと梨花に突きつけられる。
「奴に惚れているのか?」
梨花は喉許に突きつけられた剣先に怖じ気づく風もなく、真っすぐに南斗を見返す。