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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第5章 凍れる月~生涯の想い人~

「今はもう何も申すな。しばらく、このままで居させてくれ」
 南斗は梨花の頭を広い胸に抱き寄せると、仰向けになった。勢いで、梨花もまた南斗に抱えられた格好で横たわることになる。
「これほどそなたを愛しいと思うようになるとは、自分でも考えていなかった」
 南斗が梨花の頭を撫でながら呟く。
「誰が何と言おうが、そなたは私の生涯の想い人だ」
 その言葉に、涙が溢れる。
 近くでミミズクが啼く声が夜の寂寥感をいっそうかき立てた。

 その後、梨花はチョンハから意外な事実を聞かされることになった。
 梨花がソヌに呼び出されたとも知らず夜半に部屋を出ていった後、しばらくは何事もなかった。

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