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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第6章 兄の心

 父には毛織りの胴着、兄には帽子屋と筆屋でそれぞれ真新しい帽子と上等の筆を買ってきたのだ。
 まだまだ起き上がれない父は、相変わらず一日中、薄い夜具に横たわったままだ。父の上に毛織りの胴着を着せかけてやりながら、梨花は微笑んだ。
「どう? 少しは温かいでしょ。早く歩けるようになって、これを着て散歩

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