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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第6章 兄の心

「判ってるわよ」
「お前って奴は、相変わらずだな。ふざけていたかと思えば、急にしんみりしやがって」
「一向に変わり映えしなくて、申し訳ありませんでしたね!」
 梨花は故意に渋面を作り、あかんべぇをして見せた。
 ソルグクが呆れ果てたとでも言いたげに、肩を竦める。
「前言撤回。何が色気が出たきたもんか、子どもじみたというか、怒りっぽいところは全然変わってないな」
「もう良いわよ。どうせ私は女らしくもないし、大人しくもないんだから」
 失礼しちゃう、久しぶりに折角帰ってきたんだから、もうちょっと優しくしてくれても良いのに。
 ぼやきながら、プイとそっぽを向く妹を眺め、ソルグクが破顔した。

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