遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第6章 兄の心
「俺たちは、いつまで経っても変わらねえな。お互い良い歳をして、まるで子どもの喧嘩だ」
「だから、お兄ちゃんも私もいまだに結婚相手が見つからないのかしら」
先刻の話があまりに癪に触ったので、すかさず応えてやった。
すると、ソルグクがまたしても意外なことを言う。
「確かにお前は変わったよ。愉しそうっていうか、満ち足りてるていうか。何だか、家にいた頃よりも生き生きしてる。俺は端からお屋敷奉公には反対してたけど、そんなお前を見ていると、かえって行かせて良かったのかもなとも思う」
兄はしばらく梨花を見つめていたかと思うと、唐突に訊いてきた。
「よほどお屋敷での生活が性に合ってるんだろうな。辛いことはないか?」
「ううん、ちっとも。皆、良くしてくれるから、辛いことなんて何もないの」
「だから、お兄ちゃんも私もいまだに結婚相手が見つからないのかしら」
先刻の話があまりに癪に触ったので、すかさず応えてやった。
すると、ソルグクがまたしても意外なことを言う。
「確かにお前は変わったよ。愉しそうっていうか、満ち足りてるていうか。何だか、家にいた頃よりも生き生きしてる。俺は端からお屋敷奉公には反対してたけど、そんなお前を見ていると、かえって行かせて良かったのかもなとも思う」
兄はしばらく梨花を見つめていたかと思うと、唐突に訊いてきた。
「よほどお屋敷での生活が性に合ってるんだろうな。辛いことはないか?」
「ううん、ちっとも。皆、良くしてくれるから、辛いことなんて何もないの」