遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第1章 燐火~宿命の夜~
心配するよりも、とにかく兄を探し出すのだ。兄と合流できれば、これからのことについて話し合える。
梨花は大きく息を吸い込むと、両手で顔を覆いすすり泣き始めた。
「おじさん(アデユツシ)、おじさん」
梨花はわざと男たちに聞こえるように大きな声で泣き叫んだ。
「何だ、どうした」
新顔の男が居丈高に問うと、梨花は待っていたように応える。
「私は、これからどうなるの? 殺されちゃうの」
「頭の回らねえガキだな。俺たちの話が今、お前の耳にも入っていただろう。安心しな、お前は殺されるんじゃなく、女郎屋に売り飛ばされるんだよ」
「本当、本当に殺されずに済むのね」
なおも泣きじゃくる梨花の傍に、男がやってきた。
梨花は大きく息を吸い込むと、両手で顔を覆いすすり泣き始めた。
「おじさん(アデユツシ)、おじさん」
梨花はわざと男たちに聞こえるように大きな声で泣き叫んだ。
「何だ、どうした」
新顔の男が居丈高に問うと、梨花は待っていたように応える。
「私は、これからどうなるの? 殺されちゃうの」
「頭の回らねえガキだな。俺たちの話が今、お前の耳にも入っていただろう。安心しな、お前は殺されるんじゃなく、女郎屋に売り飛ばされるんだよ」
「本当、本当に殺されずに済むのね」
なおも泣きじゃくる梨花の傍に、男がやってきた。