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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第7章 哀しい現実

 家門の存続。その言葉に辛うじて支えられ、ソンジュンは生命からがら屋敷を脱出したのだ。
 しかし、現実は厳しかった。ジュソンと共に潜伏していたソンジュンは町の噂で、両親は物盗りに見せかけた刺客に殺されたのだと知った。刺客を放ったのは、右議政金愼善と悪徳商人猛威徳だった。
 ジュソンは林家の嫡子の生存を迂闊に表沙汰にしてはまずいと判断し、姉の奉公先に連れていった。それが尹北斗の屋敷だった。
 北斗はひそかに手を尽くして調査し、噂は真実であり、更に父林成水が殺害されたのは、王命によって右議政と猛威徳の癒着と不正を取り調べていたからだと判った。
 かねてから猛威徳に反感を憶えていた北斗は孤児となったソンジュンを養嗣子として迎え、ソンジュンはそのときからイム・ソンジュンではなく尹南斗として生まれ変わったのだ。

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