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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第8章 終焉

「ところで、尹どの。うちの娘を一人、貰っ
 即ち、懐柔策だ。自分の娘を敵陣に送り込み、北斗の後嗣である南斗を美しき甘い罠で籠絡する。
 だが、そう容易くはいかないぞ。何でも自分の思うように事を運べると思ったら、大間違いだ。威徳、今日がお前の命日になると教えてやりたいが、そうもゆかない。
 南斗は極上の笑みを浮かべた。
「威徳さま、若輩者ではありますが、よろしくお願いします」
 父がちらりと南斗を見る。
 威徳の娘との縁組については、これ以上触れるなと暗に釘を刺しているのだ。
 しかし、南斗は父の視線を無視して立ち上がった。
「さあ、どうぞ一献」
 威徳の手前までいざり進み、銚子を捧げ持つ。
「未来の息子に酌をして貰えるは、嬉しいことだ」

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