遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第8章 終焉
威徳が盃を差し出すのに、並々と注ぐ。
小さな盃は直に一杯になるが、南斗は頓着せず酒を注いだ。盃から酒が溢れ出しても、まだ止めない。
父北斗が再び自分の方を見るのを意識した。
「これは―。南斗どの、どういうことですかな」
威徳の禿げ上がった額に青筋が浮かんだ。
溢れ出した酒は次々と滴り落ち、威徳の上物の衣服をしとどに濡らしている。
その隙を南斗は見逃さなかった。
懐に隠し持っていた短刀をさっと取り出し、ふりかざす。
「お前、一体、何を」
流石の尹大行首も息を呑んだ。南斗が真実を知ってからのこの数日間、彼の瞳に宿る揺るぎない決意の色に、流石の大行首も気づかなかったのである。
父の愕きをよそに、南斗は威徳の胸をひと突きで貫いた。
小さな盃は直に一杯になるが、南斗は頓着せず酒を注いだ。盃から酒が溢れ出しても、まだ止めない。
父北斗が再び自分の方を見るのを意識した。
「これは―。南斗どの、どういうことですかな」
威徳の禿げ上がった額に青筋が浮かんだ。
溢れ出した酒は次々と滴り落ち、威徳の上物の衣服をしとどに濡らしている。
その隙を南斗は見逃さなかった。
懐に隠し持っていた短刀をさっと取り出し、ふりかざす。
「お前、一体、何を」
流石の尹大行首も息を呑んだ。南斗が真実を知ってからのこの数日間、彼の瞳に宿る揺るぎない決意の色に、流石の大行首も気づかなかったのである。
父の愕きをよそに、南斗は威徳の胸をひと突きで貫いた。