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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第8章 終焉

「林大監の息子だと―。生きていたのか?」
 コポッと嫌な音がして、威徳は更に血を吐いた。巨体がまるでくぐつのように倒れる。
 威徳は血まみれになりながら、大の字で床に仰向けになった。その胸にはいまだ短剣が刺さったままだ。
「父上」
 南斗はその場に跪いた。
「長年、可愛がって頂きながら、最後まで親不孝であったことをどうぞお許し下さい」
 言い終える前に、南斗は威徳の身体から短剣を引き抜き、威徳の血に濡れたそれを自分の腹に突き刺した。
「南斗っ」
 父が駆け寄ってくる。
「愚か者めが。何故、このようなことをしたのだ?」
 北斗に抱きかかえられ、南斗はうっすらと微笑んだ。その間にも、南斗の腹からは血潮が溢れ出てくる。

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