遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第8章 終焉
北斗は血に染まった息子の身体を見て、顔を歪めた。南斗を支える北斗の手は瘧にかかったように震えている。
「先立つ不孝をお詫び申し上げます。父上、私にとって、この世で父と呼べるのは父上だけです。十三の歳からお側で暮らす中に、いつかは父上を超える大商人になるのだと思うようになったのも、父上がいつでも私の憧れだったからです」
最後に、と、南斗は父の手に己が手を重ねた。
「猛威徳を殺したのは私です。父上はこの件については全く関係ありません。威徳に侮辱され、乱心した私が威徳を殺した。その乱心者を誅殺したのは他ならぬ父上です。不肖の息子を持った父として、息子を成敗したと―世間にはそう公表して下さい。それが最後の私のお願いです」
〝小花〟、南斗の唇からかすかな呟きが洩れ落ち、ひと雫の涙が流れ落ちた。
「先立つ不孝をお詫び申し上げます。父上、私にとって、この世で父と呼べるのは父上だけです。十三の歳からお側で暮らす中に、いつかは父上を超える大商人になるのだと思うようになったのも、父上がいつでも私の憧れだったからです」
最後に、と、南斗は父の手に己が手を重ねた。
「猛威徳を殺したのは私です。父上はこの件については全く関係ありません。威徳に侮辱され、乱心した私が威徳を殺した。その乱心者を誅殺したのは他ならぬ父上です。不肖の息子を持った父として、息子を成敗したと―世間にはそう公表して下さい。それが最後の私のお願いです」
〝小花〟、南斗の唇からかすかな呟きが洩れ落ち、ひと雫の涙が流れ落ちた。