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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第8章 終焉

 南斗の手から急速に力が抜けてゆく。
 ほどなく、北斗の手に重ねられた手がだらりと垂れ下がった。
「―愚かな、怖れ知らずの可愛い息子よ」
 北斗は既に息絶えた南斗の身体をそっと横たわらせた。
「お前は本当に愚かな親不孝者だ。孫の顔も見せずに、先に逝きおって」
 その日、朝鮮一の大商人とまで言われる大行首が涙を流したことを知る者は誰もいない。

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