遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第2章 転生
「そ、そうではないけれど」
「じゃあ、呑めよ。本当によく効くんだ。俺がまだお前くらいの年の頃、よく夜中にうな
されて眼が醒めた時、親父(アボジ)がこれを呑ませてくれたんだ。そんなにきつい薬じゃない」
さあ、と、少年が器を近づける。
いや、と、梨花が身を退いた。
「嫌だって言ってるでしょう」
梨花が少年の手を思いきり払った。拍子に、器が彼の手から離れ、床に転がる。茶色い薬は床に飛び散り、大きな染みを作った。
「何をするんだ! あの薬を買うのに、親父が一体、どれだけ働かなきゃいけないと思ってる!」
少年が声を荒げた。
「お前、両班か金持ちの娘だろう? 俺がお前を見つけた時、お前は凄く上等の夜着を着てた。夜着が血だらけだったから―、最初はお前が怪我をしてるのかと思ったんだぞ」
「夜着が血だらけ?」
梨花は愕然として呟いた。
「じゃあ、呑めよ。本当によく効くんだ。俺がまだお前くらいの年の頃、よく夜中にうな
されて眼が醒めた時、親父(アボジ)がこれを呑ませてくれたんだ。そんなにきつい薬じゃない」
さあ、と、少年が器を近づける。
いや、と、梨花が身を退いた。
「嫌だって言ってるでしょう」
梨花が少年の手を思いきり払った。拍子に、器が彼の手から離れ、床に転がる。茶色い薬は床に飛び散り、大きな染みを作った。
「何をするんだ! あの薬を買うのに、親父が一体、どれだけ働かなきゃいけないと思ってる!」
少年が声を荒げた。
「お前、両班か金持ちの娘だろう? 俺がお前を見つけた時、お前は凄く上等の夜着を着てた。夜着が血だらけだったから―、最初はお前が怪我をしてるのかと思ったんだぞ」
「夜着が血だらけ?」
梨花は愕然として呟いた。