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　慌てて自分の着ているものを見ると、けして上等ではないけれど、清潔な夜着を着せられている。
多分、ここに連れてこられた後、着替えさせた貰ったに違いない。夜着を濡らしていたのは、紛れもないスンチョンの血であり、あの男たちの吐いた血だ。
「そう―だったの。そうよね。でも、私、どこに倒れていたのかしら」
　梨花は訴えるような瞳を少年に向けた。
「教えて下さい。あなたが見つけた時、私はどこにいたの？」
　少年がやや怯んだように口ごもる。
「俺の家―ここから、そう遠くないところだ。俺の両親はその界隈で店をやってるから、俺も毎日、そこで働いてる。お前は、橋の上で倒れてた」
　梨花の記憶が巻き戻されてゆく。そういえば、意識を手放す寸前、川の流れる音を聞いたような気もする。石の橋の上を歩いているような感覚も確かにあの時、感じていた。