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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第3章 運命の邂逅

どうも俺は虫が好かねえな。あんなにやけた男は、俺は嫌いだ。だが、受けた恩は恩だ。この場は感謝すべきなんだろう。とはいえ、俺は、あいつから施しを受ける謂われはない。海棠、薬を先生のところに取りにいったついでに、かかった治療費・薬代占めて幾らか訊ねてきてくれ。少しずつでも、あの男に返さなきゃな」
「判った」
 梨花が頷き出てゆこうとすると、更に兄の声が呼んだ。
「海棠」
「なあに?」
 振り向く梨花に、ソルグクの不安そうな瞳が向けられていた。
「あの男だけは止めとけ。兄ちゃんは、何か嫌な予感がするんだ」
「何言ってるのよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんこそ、今日は変よ? 今し方も話したように、あの方とは今日出逢ったばかりで、しかも助けて頂いただけだって」

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