遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第3章 運命の邂逅
一方、ソルグクは唇を噛みしめ、その場に立ち尽くしていた。今ほど己れの無力さを思い知らされたことはかつてなかった。
可愛い妹、大切な妹。そう信じ込んできた梨花がいつしか〝妹〟以上の存在になったのは、いつからだろう。
いや、恐らく、あの日―十年前、梨花が初めてこの家に来た日から、ソルグクは梨花に恋情を抱いていた。ただ、その恋心をソルグク自身が認めようとしなかっただけだ。
二十歳を過ぎても妻を迎えようとしないのは、何も妹が心配なからではない。妻にしたいと思う女は、その妹以外にいないからだ。
世間的には妹としてまかり通っていても、梨花は彼の実の妹ではない。現実として、夫婦になるのは不可能ではないだろう。
しかし、肝心の梨花自身はソルグクを兄としてしか見ていない。普段の梨花の彼に向けるまなざしや言動を見れば、明白だ。
可愛い妹、大切な妹。そう信じ込んできた梨花がいつしか〝妹〟以上の存在になったのは、いつからだろう。
いや、恐らく、あの日―十年前、梨花が初めてこの家に来た日から、ソルグクは梨花に恋情を抱いていた。ただ、その恋心をソルグク自身が認めようとしなかっただけだ。
二十歳を過ぎても妻を迎えようとしないのは、何も妹が心配なからではない。妻にしたいと思う女は、その妹以外にいないからだ。
世間的には妹としてまかり通っていても、梨花は彼の実の妹ではない。現実として、夫婦になるのは不可能ではないだろう。
しかし、肝心の梨花自身はソルグクを兄としてしか見ていない。普段の梨花の彼に向けるまなざしや言動を見れば、明白だ。